ラドニー宅に到着し、セレを見た時、エルグとジンの想いはよりハッキリとしたものになった。

「…セレ…」

2人はセレの無惨な姿に絶句した。

まともな皮膚なんてほとんど無い。

それでもピアリが最初に見た時よりはずっとマシになっていた。

僅か数時間で、崩れていた唇や目の周りは元の美しい形を取り戻していた。

「見苦しい姿で申し訳ない。心配はしないでくれ。明日には動ける。」

セレはこんな状態でもみんなに気を使っている。

「セレ…心配するなって言う方が無理だ。」

エルグが言った。

「…そうだな…」

セレは笑顔になった。ついさっきまでは顔の皮膚が引き攣れて笑う事もできなかった。回復力が高まって来ている。

…みんながいるとやっぱり違うな…


ジンはさり気なく部屋を出た。

少しして小さなグラスを持って戻って来た。ワインの様な液体が入っている。

「セレ。これを。」

「これは…」

セレにはわかった。これはジンの、つまり竜の血だ。

「傷の治りが早くなる。」

「ありがとう…。ジン、随分疲れているみたいだな。」

いつもならとっくに竜の姿に戻っている時間だ。無理をしているのだろう。