緑の風と小さな光 第1部

ウォールは火炎弾を投げ上げ、空中で炸裂させた。

火炎弾は大粒の火の雨となり、勢い良く人々の頭上に降り注ぐ。

「≡≡≡≡」

呪文を唱えたのはセレだ。

セレの身体から淡い光が放たれ、文字のような模様が浮かび上がった。

大きな魔法を使う時の現象だ。

微かな振動の後に大地に亀裂が入った。みるみる大きくなり、パックリと深く裂けた。

地割れだ。

その割れ目が全ての火の弾を吸い込んだ。

引力はウォールにも作用する。ジリジリと大地の割れ目に引っ張られて行く。

大地の魔法はウォールも使えるから、セレの魔法を打ち消そうとするのだが、力の大きさが違う。

「くそっ!」

ここでセレがこれだけの魔法を使って来るとは、想定外だった。

セレはウォールを殺そうとは思っていない。この魔法に抗う事でウォールの力を消耗させるつもりだ。

しばらく動けなくなってくれればエルグ達が逃げおおせる。

本当はあまり大きな魔法は使いたくなかった。

大きな魔法は他の魔法使いに感知されやすい。何処にどんな危険な魔法使いがいるかわからないのだ。

それにセレの消耗も激しい。

だがウォールの体力を奪い切らなければならない。