緑の風と小さな光 第1部

誰からともなくセレに声援がかかる。

セレは数日だが一緒に働いている仲間だ。

「危ない!」

「やれっ!」

「いいぞ!」

ウォールの方は見知らぬ怪しい男だ。応援する者は当然いない。

「ちっ、四面楚歌かい。…寂しいもんだね。」

ウォールはぼそっと呟いた。

本音だ、とセレは感じた。ウォールの目に『悲しみ』の色が微かに見えた。

しかしウォールの攻撃は激しさを増した。

『このままでは埒《らち》が明かない。さっさとこいつを倒さないとジンを見逃してしまう。』

元よりセレの目的は「足止め」だ。これではセレの思うツボだ。

セレを倒せなくても、振り切ってあの2人を追いかけられればいい。

魔法のバリエーションを変えてみた。

だが、なかなかセレを抑えられない。

「…コイツを使ってみるか。」

ポケットから何かの宝石で出来ている小さな箱を取り出した。

セレに火炎弾を立て続けに放ち、合間にその箱をセレの足元に投げつけた。

「!?」

バチッ!

音と共にセレの全身が白い光に包まれた。

「あぁっ!」

稲妻だ。強力な雷撃だった。

シュウッ…

髪や皮膚、服が焦げる臭い…

セレは辛うじて立っていた。