緑の風と小さな光 第1部

「…なるほどね…」

機関室の中には1人の小柄な男がいた。

「お前、魔法使いだな。火の魔法を使って蒸気を作っていたな。」

火の魔法は「熱」の魔法だ。室温の調節も造作ない。暑くないはずだ。

ウォールにネタばらしをされて、ラドニーは苦い顔になった。

「…実はボイラーがまだ完璧ではないんだ。圧力が安定しなくてね。少し魔法の力を借りているんだ。」

「そうさ!この工場は俺の力がなくちゃ動かないんだ。」

小柄な魔法使いは自分の力を誇示した。

ウォールは冷めた目で言った。

「この程度で魔法使いなんて言えるのかね…」

そして呪文を唱えた。

火力が一気に強くなりボイラーの圧力が上がった。工場の機械が軽快に動き出した。

「せめてこの位はやって欲しいもんだね。」

「チッ!」

舌打ちをして、小柄な魔法使いは機関室を出て行った。

それを見ていたジンが、セレに言った。

「あいつだ!あの小柄な奴がこの間の火事の時に、火が出た辺りに居たんだ!」

「あいつが…?何故だろう?」

そこにウォールが来た。

「やあ。また会ったな。」

「…こんにちわ。」

ジンは律儀に挨拶をした。

「何しに来た?」

セレはいつにも増して無愛想に言った。