セレがここに来たのは昼頃だったのに、もう陽が西に傾いていた。

それにしてもセレが王家の人間だったとは…

私はとんでもなく失礼だ、とピアリは思った。

…1歩間違えば、不敬罪で逮捕されてしまうわ…

でも、今更セレに対する態度を変える気にはなれなかった。セレにも気にしている様子は感じられない。

…まあ、いいか…

「これはお父さんが焼いたパンなの。美味しいよ。スープは私が作ったの。少し味が濃いかもしれないけど、野菜がたっぷり入っているから身体にいいわ。」

こんがりと焼けた丸いパンと、具だくさんのコンソメスープを出した。

「そうか。いつの間にかこんな時間になってしまった。いただこう。

お口に合うかどうか分かりませんが、良かったらセレ様もどうぞ。」

ローエンは自分が先にパンを取り、セレにも勧めた。

「…ありがとう。」

食事をする気にはなれなかったが、セレもパンを手に取った。

…が、そこで動きが止まった。

「…外に何かいる。」

窓の方を振り返り、呟く様に言った。

「えっ!?」

ピアリが窓から外を見た。