底に降りてみると横穴があった。

「ここを通って何処かに行ったんだな。」

そんなに大きな穴では無かった。

普通の体格の人間なら腰をかがめて通れるが、エルグは四つん這いでやっと通れた。

結構な距離を進んだ。

風車小屋の辺りで感じた気配がして来た。

「…何か居る。」

何だろう、と思いながらもそのまま進んだ。気配はどんどん強くなる。

急に広い空間になった。

立ってみた。頭はぶつからなかった。

…側に何かが居る。居るのは感じるのだが、暗くて見えない。こちらを攻撃してくる気配は無いが…

手を前に伸ばして2,3歩進んでみた。何かに触れた。

「木の枝みたいだな。」

細い木の枝が絡み合って、上にも下にも、左右にも広がっている。

全体の様子をつかもうと両手で探ってみるが、大きすぎてわからない。

突然、エルグの右、数メートルの所にフワッと灯りが点った。

「!」

「ここまで来ちゃったんだね。…でも、あんたならいいや。あの魔法使いだったら追い返すけどね。」

ジンだ。

エルグは勝手に侵入した事を悪びれもせずに尋ねた。

「ここは何だ?」

「何だと思う?」