「ああ、いいよ。」

灰褐色の髪を短めに刈り揃えた、見るからに真面目そうな中年の男性が答えた。

ピアリの父親だ。名前をローエンという。意味は「堅実」。



ピアリは近くの草原に向かった。

「彼」がそろそろ目覚める頃なのだ。

「彼」とは、ヴァシュロークという魔法使いが造り上げた「魔法石」の守護者だ。

その石を守るために、魔法によって身体を作り変えられた人間、とピアリは聞いている。

ヴァシュロークとは「金の穂」という意味だ。

魔法には、大別して、地、水、火、風、の4つがある。

大抵の魔法使いは、どれか1つしか使えない。2つ使えれば「強力な魔法使い」それ以上は「大魔法使い」と呼ばれる。

「偉大な魔法使い」と呼ばれたヴァシュロークは、全ての魔法を使いこなした。

そのヴァシュロークの魔法と智慧の結晶が「魔法石」であり「彼」だった。