緑の風と小さな光 第1部

2人はきびきびと働いた。時々言葉を交わしながら楽しそうに。

しかも疲れる事は無かった。

「休憩時間だよ!そこの2人も!」

作業を取り仕切っている男性が声をかけた。

女性の工員が冷たいお茶を運んで来てくれた。

セレとエルグも受け取って、一気に喉を通した。

まだ真夏ではなかったが工場はかなり暑かった。冷たい飲み物は身も心も爽快にしてくれる。

…と、たった今お茶をくれた女性が何かにつまずいてバランスを崩した。

セレの瞳の美しさに気を取られたのだ。足元に不注意になっていた。

お茶のグラスがいっぱい乗ったトレーを落としそうになった。

「あっ!」

思わずセレは魔法を使ってしまった。

トレーとグラスが宙に浮いたまま止まっている。

「えっ…」

それを目の当たりにした人々は目を丸くした。

ラドニーも見ていた。

「君は魔法使いなの?」

「ええ…」

見せる事でもないが、隠す事でもない。

「それならちょっと聞きたい事がある。仕事が終わったら僕の所に来てくれ。」

「はい。」

…何だろう?魔法を使ったのはまずかったのか?

セレとエルグは囁き合いながらその後の仕事をこなした。