「さっきの薬の話なんだけど。」

ピアリは話を元に戻した。

「ああ、そうだった。あと2種類足りないね。」

「どんな薬草か教えてください。集めて来ます。」

ピアリに頼まれて、医者は説明の文章を書いた。

「良かった…これでルルグの薬ができるわ。」

「ありがとうございます!ピアリもありがとう!」

今までで1番いい笑顔でエルグは礼を言った。

ルルグももちろん礼を言ったが、頭《ず》が高い、とエルグに頭を押し下げられた。

「早速、探しに行きましょう。」

ピアリが起きようとして、少し痛そうな顔になった。

「駄目だ。」

医者よりも先にセレが止めた。

「言われただろう。肺が傷ついたら大変だ。しばらくは動くな。」

「でも、薬草は私じゃないと…」

「絵でも描いてくれれば分かるさ。説明書もあるし。」

「…じゃあ、私はまた一人で待ってるの?」

黒曜石の瞳でセレをじっと見る。

この瞳には勝てない…

セレにとってはどんな魔法よりも強力だ。

「今回は俺も残るよ。エルグとルルグで行ってもらおう。」

「…ありがとう。」