緑の風と小さな光 第1部

その頃、やや大きな地震があった。

花瓶や置物などが倒れる程度で、建築物には被害は無かった。

火山のあるこの国では地震は珍しくは無い。

だが、ヴァシュロークは『おかしい』と感じた。

…今の地震のエネルギーは相当なものだ。こんな揺れでは済まない筈だ…

「誰かが魔法で抑えたのでは…」

これだけの魔法が使える人間はごく少数だ。

しかもヴァシュロークよりも早く地震を感知できるとなると…

昔からの魔法使いの血筋であるランディール王家の者か、以前ヴァシュロークの弟子だった者。ほんの数名だ。

一体誰が…? 

と考えている所に

「ヴァシュローク様!」

小屋の戸を荒っぽく開けて、中年の男性が入ってきた。

見覚えがあった。元、王宮の庭師で、第一王子と仲の良かったジャルドという人物だ。

「ヴァシュローク様、すぐに来て下さい。王子が…」

「王子? セレがどうかしたか?」

「意識が戻らないのです…」