2人はバシャバシャとお湯遊びに夢中になって、結局1時間も入っていた。

「茹《ゆ》で上がっちゃったわね。」

2人とも温まり過ぎてグッタリしていた。腰にタオルを巻いた姿で風に当たって休んだ。

エルグの身体が傷痕だらけな事にセレは気付いたが、何も言わなかった。

「次はピアリだ。」

「うん。」

セレは背を向けた。エルグ達にも釘を刺す。

「見るなよ。」

「わかってるって!」


ピアリも久しぶりの温泉だった。小さい頃にローエンと入ったきりだ。

熱めの湯に肩まで浸かる。身体がほぐれる。

「気持ちいいなぁ…」

自然に歌が出た。

古くから歌い継がれている自分の国の民謡だ。

「…白い花びら…雲を織り成し…季節を巡らせる…」

ピアリの歌声に全員が振り返った。

驚嘆。

『上手すぎる』のだ。

声の美しさはもちろんだが、優しく、切なく、情熱的に、心に響く…

みんなの視線を感じてピアリも振り返った。

「こっちを見るなーっ!変態ー!!」

男たちは我に返った。

「ごめん!」

「悪かった!」


ウンディーネの血を引いているせいか…とセレは思った。