天然の岩風呂だった。

おそらく人の手は加わっていない。

「入りたい!」

ピアリとルルグはテンションが上がっている。

「ちょっと待て…」

セレが様子を見る。

透明な湯だ。匂いもほとんど無い。

そっと手を入れてみる。少し熱めだが問題ない。

舐めてみると少し塩味を感じた。他にも何かミネラルを感じるが、危険は無さそうだ。

「大丈夫だ。」

お墨付きが出た。

「わーい!」

「入るー!」

「せっかくだ。俺達も入ろう。」

エルグはセレに言った。

「うん。実は初めてなんだ。」

セレも楽しみだった。

1人が見張りに立ち、交替で入る事にした。

小さなルルグが最初に入る事になった。

「岩が滑って危ないから一緒に入ってやれ。」

セレに言われて、エルグも入る事にした。

2人で『ドプン!』と足から飛び込んだ。

「はぁー」

「気持ちいいー!」

身体の芯までとろける様だった。

とっぷりと浸かっているエルグの顔にルルグがお湯をかけた。

「ぶふっ!やめろ!」

エルグも「お湯鉄砲」で応戦する。

「どうだ!」

見張りに立つセレの所にまで飛沫《しぶき》が飛んでくる。

「あまり長湯するなよ。」