しかし、壊れた扉をくぐって現れたエルグの姿はセレの知っているものではなかった。

「エルグ?その姿は?」

「お兄ちゃん!正体丸出しだ!落ち着いて!」

「あー、またやっちまったか…」

熊だ…熊男だ。エルグは獣人なのだ。道理で怪力なはずだ。感情が高ぶると熊の姿に戻ってしまう。

「何とかセレを助けなくっちゃと思ったんだけど何もいい考えが浮かばなくて…結局俺にはこうするしか…」

申し訳無さそうにエルグが言った。

「……」

セレとルルグは顔を見合わせて笑った。

「とにかく、もう大丈夫だ。」

セレはエルグの肩を叩いた。

「良かった…」

エルグはまた泣き出した。