セレとエルグは町から離れて荒れた土地を歩いていた。

「あとどの位だ?」

「もうすぐだ。目の前の丘を越えれば見えるよ。」

「じゃあ、そろそろやられたフリをしよう。」

「うん…悪いな…」

エルグはセレを後ろ手に縛り上げて、軽々と肩に担ぎ上げた。

「苦しくないか?」

「大丈夫。」

あの灰色のツバメが上空を飛んでいた。もう話さない方がいい。

二人は沈黙した。

その建物が見えて来た。

普通の小屋だ。ピアリが住んでいた小屋と大して変らない。

ただ、丸太ではなくレンガで出来ていた。扉は鉄製で、頑丈過ぎる感じがした。窓にも鉄格子がはめてあった。

「エルグです。奴を捕まえて来ました。」

鉄の扉を叩いてエルグが言った。

「ご苦労さん。良くやってくれた。今、開けるよ。」

重い扉が中から開いた。かんぬきが二重になっていた。

これでは外からは開けられないだろう。

「これが、あなたの言っていた緑の瞳の魔法使いです。」

セレを床に降ろした。

「これがね…。普通の人間と変わりないな。」