「“長い黒髪の少女を連れた緑の瞳の男”って言われたんだ。だから最初にあんただけを見てもわからなかったんだ。」

「なるほど。ピアリと一緒にいるのを見て気付いたって事か。」

「うん…。それに悪い魔法使いだって聞いたんだ。気に入らない奴がいると片っ端から大地の魔法で潰してしまうって…」

「俺が?…そんな風に見えるか?」

「とんでもない!だから…あんた達が優しいから…こんな事やりたくなくて…」

エルグはまたポロポロと泣き出した。

「弟は?どこにいる?」

「人質さ。ガルテンの所に閉じ込められてる。」

「ガルテンとは?」

「怪しげな情報屋だ。あの灰色のツバメを使って各地から情報を集めてる。

あんたの事もかなり前から知ってたらしい。

レアな魔法石が体の中にあるんだろ?それを狙っているんだ。」

「もう知ってる奴がいるのか…!」

セレは驚きの表情を浮かべた。


「俺はどうしたらいいんだ…」

エルグはガックリとうなだれた。

「簡単さ。」

「…え?」

「俺が君にやられたフリをして捕まればいいんだ。」

何でもない、という感じでセレは言った。