治療が終わると、早速セレは動き出した。

「セレ!じっとしてて!」

「そこまで重傷じゃないだろ。」

そう言うセレの顔色は少し青ざめていた。

「顔色が悪いわよ。血が足りないのよ。」

「ちゃんと休みなさい!もう一晩泊まって行け!」

老人に少しきつめに言われて、やっとセレはおとなしく座った。

老婆の方は嬉しそうだった。

「ピアリちゃん、あんた大したもんだね。私達の孫にならないかい?」

「無理を言うな、バアさん!」

「この人は」

と老婆はセレを見た。

「危険なんじゃないの?一緒にいて大丈夫なの?」

「おばあちゃん、この人はいい人よ。それに私の方がセレに付いて来たのよ。」

いい人、と言われたのはセレは初めてだった。そしてピアリが言ってくれた事が嬉しかった。

「そうなの?あなたみたいな可愛い子が危ない目にあったりしたら、私は耐えられないわ。」

「優しいのね。でも本当に大丈夫よ。私はむしろセレとの旅が楽しいの。」

「ピアリちゃんがそう言うんじゃねえ…仕方ないわね。」

老婆は渋々諦めた。