午前10時12分。
仕事に追われたりして疲れていたため、私はしばらくの間ここには来ていなかった。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー」
自動ドアを入ると同時に一人の店員が大きな声で遠くからそういうと、それに継ぐように他の店員たちも同じく言った。
相変わらず広い店内。そして何よりここの魅力は他の店と比べるととにかく本の種類が沢山ある。
今日は特に本などを買いたくて来た訳ではないせいか、私はどのコーナーに行けばいいのか分からなかった。とりあえず奥の方へと歩いて行く。
高い本棚にはずらりと色んなタイトルをした本が並び、きれいにジャンルごとで分かれている。
何度ここへ来ても飽きないのはきっと、本達の内容がどうであれ、タイトルだけでも全てを見尽くせないからだろう。
つまり本が新しく入荷される限り、いつまでたってもどんな本があるのかという好奇心が満たされないまま、次のドキドキが生まれるの繰り返しなのだ。
どの本に出会えるのか色々と期待に胸がドキドキし、その緊張に若干腹痛さえ感じる。
心の底から期待することに対してはいつだってそうだ。特にそれが悪い事よりも、いいことだと衝動が抑えられず余計に痛い。
しかしそれはいた。
わずかでしかなかった幸福の一時を壊すかのように。
偶然、いや導かれるように。
気付けばホラー小説のミニコーナーの前にいた。
それは臨時的な移動売り場。通常なら定番の場所で置いてあるジャンルのものが、売上を上げるため一時的に場所を変える、という販売作戦のこと。以前のバイトでそのことを教われた私は分かる。
ホラーの定番場所を避けたくてこちら側に来たというのに…
仕事に追われたりして疲れていたため、私はしばらくの間ここには来ていなかった。
「いらっしゃいませー!」
「いらっしゃいませー」
自動ドアを入ると同時に一人の店員が大きな声で遠くからそういうと、それに継ぐように他の店員たちも同じく言った。
相変わらず広い店内。そして何よりここの魅力は他の店と比べるととにかく本の種類が沢山ある。
今日は特に本などを買いたくて来た訳ではないせいか、私はどのコーナーに行けばいいのか分からなかった。とりあえず奥の方へと歩いて行く。
高い本棚にはずらりと色んなタイトルをした本が並び、きれいにジャンルごとで分かれている。
何度ここへ来ても飽きないのはきっと、本達の内容がどうであれ、タイトルだけでも全てを見尽くせないからだろう。
つまり本が新しく入荷される限り、いつまでたってもどんな本があるのかという好奇心が満たされないまま、次のドキドキが生まれるの繰り返しなのだ。
どの本に出会えるのか色々と期待に胸がドキドキし、その緊張に若干腹痛さえ感じる。
心の底から期待することに対してはいつだってそうだ。特にそれが悪い事よりも、いいことだと衝動が抑えられず余計に痛い。
しかしそれはいた。
わずかでしかなかった幸福の一時を壊すかのように。
偶然、いや導かれるように。
気付けばホラー小説のミニコーナーの前にいた。
それは臨時的な移動売り場。通常なら定番の場所で置いてあるジャンルのものが、売上を上げるため一時的に場所を変える、という販売作戦のこと。以前のバイトでそのことを教われた私は分かる。
ホラーの定番場所を避けたくてこちら側に来たというのに…

