雨風ささやく丘で

まだ起動するだけでも十分と、一安心した私は設定を以前と同じように直す作業をする。電話の着信音は”星に願いを”のオルゴール着信音。

次にセキュリーティー設定。しかしセキュリーティーの暗証番号が中々思い出せず、少なくとも10分は思い出そうと粘った。
何度か入力しても無理なことに、イライラした私はベッドに思いっきり寝転んだ。
「もぉー!!....」
再び降り出していた雨の音を除けば部屋は静かだった。
このまま寝ても問題はなかったことから私は少しづつ目を閉じていった。
とその時だった。

ぶぅーーーーん

ぶぅーーーーん

と耳元で音が響き、私は驚いて飛び起きた。
その直後先ほど設定した星に願いをの着信音が鳴る。

画面を見ると結子からの電話だ。

「もしもし、夏希?」
「そうだよ、どうしたの?」
「どうしたのって…それこっちのセリフよ。さっき電話掛けたのに出なかったでしょ」
「携帯落としちゃってね。今電源入れたとこ」
「そういうことだったのね。ねぇ、夏希今度の休みどっか行かない?」
「いいよ。どこ行きたいの?」
「別にここ!ってとこはないけどぉ…寄りたいとこあるんだぁ」
この言い方。声で分かる。何かお願いするときの言い方。結子は何を企んでいるのだろうか。
「どこなのそれ。ちょー怪しい」
「悪いことじゃないけど一人で行くの心細くて。お願い!当時教えるからお願い!」
手を合わせてお願いしている結子の姿が自然と頭に思い浮かぶ。
「いいけど…アブナイとこはダメよ?」
「よーし了解!じゃあまた明日ね」
「明日会えるならわざわざ電話しなくてもぉ…」
「早く聞きたかったからぁへへへっ。んじゃ、ばいばい」
「うん、ばいばい」

結子ったら。