「いや・・・悪い。・・・・くくっ」
どうにか笑いをこらえて
また私をまっすぐに見つめてくる。
しかも、頬をつかまれてるってことは
けっこう至近距離から見つめられているわけで。
ち、近いってば・・・・
「おまえの言う通りだ。
今、目の前にいる俺は、おまえが認識している人物で相違ない。
それこそが俺だ。
なあ?山下。」
「はい、ごもっともでございます、ぼっちゃま。」
うわぁ!まだいたの!?
山下さんは、最初の位置から一歩も動かずに、手を体の前で組んで微笑んでいる。
「椎名さまは、洞察力に優れ、お優しくまっすぐな心をお持ちの素敵なレディですね。」
「ふっあたりまえだろう。
俺が選んだ女だからな。」

