ぷいっと向こうを向いて見せると
かすかに笑い声が聞こえる。
「なに笑ってるんですか。」
「いや・・・やはりおまえは変わっている。」
変わっている?
いやいや、いたって普通ですけど。
「椎名くらいのものだ。
俺相手にそんな態度と口をきけるのは。」
・・・確かに。
この人、とんでもない御曹司なんだよね。
しかも、よく考えたら、お父さんの勤め先の親会社。
もしかしなくても、機嫌撮っといた方がいい人じゃん。
「し、失礼しました・・・。」
「ふっ別にいい。
おまえのことは、5歳のときから知っているからな。
俺はそんな椎名が好きなんだ。」
今日だけで何回同じ人に告られるんだろう、私。
「椎名だけだ。
そうやって、今ここに、目の前にいる俺を見て
普通に叱って、怒って・・・
金持ちとか、外見とか、俺のバックにあるものを見ない。」

