綺麗に閉じられた瞼。
そこに並ぶのは長いまつげ。
肌もきめ細かくて、芸能人みたい。
手の甲に感じた唇は、少し冷たかった。
イケメンってとくだな・・・・
胸が激しく動悸しながらも、頭はわりと冷静で
そんなことを考えている。
手から唇をかすかに離した御影さまは
そのまま少しうつむき加減でわたしに微笑みかける。
「先ほどの声はなかなか良い。」
その言葉を聞いて
あわてて手を引く。
「いきなりなにするんですか!?」
「礼儀だ。」
「はい?」
「男が女に礼を言うとき、皆するだろう?
だが、おまえは慣れていないようだったがな。」
「・・・そりゃ、庶民ですから。
こんなの慣れてる方がおかしいんです!」
「そうか?
まあ、もし椎名の手に俺以外の男が唇で触れていれば、
おそらく俺はそいつを社会的に抹殺しているだろうな。」
「なにするんですか・・・・・!!!」
もしも、の話でも怖すぎるよ。
「もう、変なこと言わないでください!」

