女の子は急に涙を流しはじめた。
「そういう心じゃなくて・・・・
椎名が毎日この子のお世話をしにここに来てるの知ってるんでしょう?
だったら、どれだけこの子を可愛がってるか、とか。
この子だってこんなにまだ小さいのに必死に生きてて・・・頑張ってるの。
それをちょっとでも助けてあげたいって気持ちのことだよ。」
思いやりってことか・・・
「でも、それは本当にその子犬のためにならない。」
「わかってるもん!
でも、わかっててもしちゃうの!
この気持ちがどうしてわからないの?って言ってるの。」
僕は、怒られているのか・・・・?
いや、怒られてはいない?
わからないけど、ここまでまっすぐ僕の目を見て
物を言ってきた子は初めてだ。
「僕は間違ってる?」
「間違ってないけど、間違ってる!」
訳がわからない・・・。
でも、どうしてか考えさせられてしまう。
思いやり、か・・・・・。

