「ねえ、君。」
後ろから声をかけると、びっくりしたように振り返る。
「毎日、ここにきてるよね?どうして?」
瞬きして「どうしてって・・・」と、子犬を見る。
「この子がいるから。」
「野良犬でしょう?そうやって餌を与え続けてどうするの?
飼うこともできないなら、やめたほうがいい。
君が餌を与えなくなったら、その子犬は死んでしまうよ。」
別にこんなこと言うつもりなかったのに言ってしまった。
「どうしてそんなこと言うの!」
「本当のことでしょ?
君の気まぐれで餌をあげて、この犬が自分で餌を見つけるができないまま大人になったらどうするの?
まあ、だいたい・・・大人になれるかどうかもあやしいけどね。」
「どういう意味?」
「保健所ってところに連れてかれて殺されるのがオチだよ。」
「・・・なんでそんなひどいこと言うの!!!」
女の子は子犬を抱きかかえる。
「こんなに可愛いのに・・・・
それに、関係ないでしょ!?」

