「あっぶない。」 彼女の肩を自分のほうへ寄せ、電柱にぶつかるのを阻止したところでさすがに足を止めた。 急に止まったことを不思議に思ったのか、少し驚いた顔で俺を見上げる彼女。 …上目づかいなんかには屈しないからな。 心を鬼にして、険しい表情まま。 「電柱にぶつかるところだったよ。 だから、危ないって言っただろ。」 と言うと、凛々子はコクン、と頷いてポケットにスマホをしまった。 こういうところほんと、素直でいいなと思う。