愛を知らないあなたに

呆然とした。

困惑の波が心を揺らす。



笑った?

笑い方も何も、分からない俺が?


笑った、だと・・・?



感情が表に出た。

あまりに自然に、笑みというものがこぼれた。




思わずというように、発端となった生贄をちらりと見れば・・・・・・


「・・・・・・どうした?」



生贄はなぜかほんのり頬を赤らめ、なぜだかぼぅっと俺を見ていた。

怪訝に思った俺は、生贄にぐいっと顔を近づけ、再度同じ問いを口にする。



「どうしたのだ?」


「へっ・・・・・・わ、わあっ!?」



やっと気付いた生贄は、驚いたように目を見開き、ぴょんっと後ろに飛びあがった。


ぱちぱちと目を瞬き、きょろきょろと忙しなく瞳を動かす。



「あ、あれ?やっぱり、さっきのは幻覚?あ、あはは、そうだよねそうだよね!

琥珀様が笑うなんてそんなことないよね「いや、現実だが。」」




妙に明るく早口でまくしたてるように言う生贄の声を遮り、キッパリと言った。


確かにさっき俺は微か(カスカ)にだが・・・笑ったのだ。

それは事実であり、幻覚などではない。