愛を知らないあなたに

楽しそうに笑った女の顔が蘇る。


鬼の俺を、怖がらずに。

まるで人間の子のように接した、あの女。




『あら、どうして?

わたしは琥珀といて、楽しいから笑うのよ。

それのどこがおかしいの?』


キョトンとした顔で、あの女は言っていた。



『そりゃ、琥珀は鬼よ。そんなの知ってる。

けど、琥珀は怖くないわよ。

だって琥珀は、わたしを傷つけたりしないでしょう?』


にっこりと完璧な笑顔を見せたあの女の瞳は、澄んでいて、なんだか眩しかった。







―――似ている。


あの女と、雰囲気が。とてもよく、似ている。




そしてふっとある考えが浮かんだ。


生贄を育てた“アサギ”という女は、俺に名をつけた浅葱という女なのかもしれない。



その考えは、なんとなくだが合っている気がした。







「・・・・・・琥珀様?」


1人納得していると、怪訝そうに生贄が俺を見ていた。