愛を知らないあなたに

『蘭もね。ほとんど人間だった。


けど・・・・・・偏見っていうのは、そんなに簡単に、あっさりと消えるものじゃない。』




不意に。

浅葱さんは、とてもとても悔しそうな顔をした。


悔しそうで、切なそうな顔。






『凜、蘭は・・・あなたのお母さんは・・・・・・

村長の1人息子と、恋に落ちた。』



ふっと浅葱さんは口をとじ、ぐっと拳を握り締めた。


何かに耐えるように、そっと瞼を下ろした後。



浅葱さんは口を開いた。




『勿論、村の人々はほとんど全員反対した。


だってそうでしょう?


村長の1人息子と、汚らわしいとされている雪女の末裔。



村の反対なんて、目に見えていた。』





浅葱さんはとても辛そうな顔をしていた。


苦しそうに揺れる瞳で、けれど真っ直ぐにあたしを見ていた。



優しくあたしをなでる手が、温かかった。