愛を知らないあなたに

「だから・・・あたしは、惚れさせるんです。

琥珀様を。

もう、引き返せないから、挑むんです。」



ニッと、あたしは不敵な笑みを浮かべた。




《・・・・・・それも、馬鹿だ。》


「どうしてですか?」


あたしが真っ直ぐに問いかければ、ジンさんは哀れむようにあたしを見た。



《琥珀は鬼だ。

鬼に心はない。鬼は愛など知らない。》

「知ってます。」


あたしは即座に答えた。


何を言うのかと思えば、そんなこと?




「馬鹿はそっちじゃないんですか?ジンさん。

あたしは一週間は琥珀様と一緒にいました。

それぐらいは知ってます。」



いつだって。


琥珀様はあたしを絶対零度の声で『生贄』と呼ぶ。

琥珀様の視線は、突き刺さるように鋭くて痛い。

琥珀様は、どんなことにも表情を変えない。



知ってるんだ。

そんなことは。



「知った上で、好きになったんです。」