愛を知らないあなたに

しどろもどろに言えば、ジンさんはコクリと頭を前に傾かせた。



《確かにな。

それどころではなかったろうし・・・

今もそれどころではないのだろう。》



あはは。仰るとおりです・・・。


あたしは苦笑いをこぼした。




「あの、ところで、テンコってなんですか?」


《天孤とは、お天道様の“天”と、“狐”(キツネ)と書く。

1000歳を超え、神格化した狐のことだ。

ありがたいことに、様々な力を持っている。》



へぇ・・・。

てことは、ジンさんって、すごい狐なんだ・・・。





《それで、話を戻すが・・・

おぬは、どうするつもりなのだ?》


鳶色の瞳が、真っ直ぐにあたしを見る。

まるで、射るような鋭い視線。




どうするつもりかって?


そんなのは、昨日のうちに決めたよ。




「あたし、琥珀様を惚れさせてみせます!」



真っ直ぐにジンさんを見つめ返しながら、あたしはハッキリと言った。