「なんで、憐ちゃんが謝るのさ」




そう言って笑うけど、憐ちゃんは俯いたまま黙ってブランコを小さく揺らした。


私も負けじとブランコをこぐ。






「遥さんだよね、あのひと」







憐ちゃんは黙って頷いた。







「弱いとこ見せちゃった私が悪いんだ。ごめんね」






髪の毛が風にゆられる。


頭がくらくらしてきた。



小さい頃はブランコにいくら乗っても平気だったのに。


ブランコで酔ってしまうだなんて。




慌ててブランコをこぐのをやめ、少しずつブランコが止まるのを待った。







「帰ろっか」







そう言って笑えば、憐ちゃんも顔を上げて笑った。



やなことばっかり考えたって仕方が無いんだ。




そう考えながら夕日に照らされて二人並んで帰った。






明日からどうなるかなんて、このときは考えてもいなかった