「憐……ちゃん、憐、ちゃん。わ、わた、わた、私……」






 どうしたらいいの?私は、どうしたらいいの?


 優哉さんがいなくなったら、私に、何が残るの?



 そんな思いが、涙となってはらはらと流れ落ちる。



 ぎゅっと手首を握られ、憐ちゃんに引っ張られそのまま病院の庭へと連れ出される。



 優哉さんと出会う、まだ前のことを思い出す。



 あのときは、私が引っ張る側だったのに。




 急に止まったかと思うと、ふっと、ぼやけた視界が真っ暗になった。







「憐、ちゃん?」







 憐ちゃんの手が、腕が、私の背中にまわる。


 駄目だよ。


 私は、優哉さんの、彼女なんだよ?







「憐、ちゃん。や、駄目……」








 憐ちゃんの胸板をどんどんっと軽く押すけれど、びくともしない。


 それどころか、憐ちゃんが私を抱きしめる力は強くなる。





「憐ちゃん、憐ちゃん………」







 名前を呼ぶ私を、もっと強く抱きしめる憐ちゃん。