『お母さん!桜咲いてる!!』 桜の木の下。 桜がはらはらと落ちる中、私はお母さんの袖を引っ張った。 『あら、本当。綺麗ね』 『そーだねえ!』 『頭に桜、乗ってるわよ』 そう言うとお母さんは微笑んで私の頭に乗っていた桜を取ると、その桜を私にくれた。 『桜、朋実のほっぺたと同じ色してる』 お母さんは私のほっぺたを撫でた。 私のほっぺたを触るお母さんの手は酷く冷たくて。 あの事故のときに、抱きしめていたのを思い出した。