「…もう逃げるのは辞めようと思う」





とお父さんに言われ、我にかえった。





「…今更、どうして」


事故の直後から私たちと顔を合わせるたびに何か言い訳をして。


しまいにはいなくなって。

なのに突然なんなの?




「お前とお母さんにはたくさん迷惑をかけたと思う。俺は家を出て行った後色々考えた。

やはりこれではダメだと思った。ちゃんと家族と向き合わなければいけないって分かったんだ。本当にすまなかった。」



そう言って、お父さんは頭を下げた。






こんなお父さんは初めてだった。







お母さんは隣で静かに聞いていたけれど、目には涙が浮かんでいた。





「…また昔みたいに戻れる?」





私がそう聞くと、お母さんは答えた。






「戻れるって信じてるわ。」






「お母さん、舞。これから、3人で頑張ろう。俺が支えていく」






そうお父さんが言ってくれた。