【完】切ないよ、仇野君

そんな親近感に、ちょっとだけ喜んでいる私を歩君は不思議そうな目で見てる。


「どぎゃんしたと?なんか、嬉しそうやけど」


「え?あ、うん。歩君にもコンプレックスあるんやなぁって思って。ちょっと親近感」


「普通にあるて!見た目んこつもやし、俺な兄貴おるんやけど、バスケで勝てたこつなか。いっつも兄貴と比べらるる。椿にも、去年『要は劣化版でしょ』なんて言われたつばい?」


そういえば、歩君って去年のうちの凄い先輩の弟なんだよね。


一人っ子の私には比較されることの辛さは分からないけど、あんなにバスケ上手なのにそんなこと言われちゃったら気にするよね。


「先輩は凄かて聞いとるばってん、私は先輩んこつ知らんし、歩君は歩君て思う。上手く言えんけど……歩君は、凄かよ」


こんなこと言っても気休めにしかならないかも知れないけど、歩君は本当に凄いんだ。太陽なんだよ。


そのことを、拙い言葉で並べて歩君に伝えると、歩君は基本は大人びた綺麗なその顔を、17歳の等身大の、同い年の男の子達と同じように幼く歪ませる。


「ちーには敵わんわ……。そういうこつ言うてくれるけん、泰河好きなん知っちょうてん、踏ん切りつかん」


その、幼くて、どこか切ない歩君の笑顔に、私は心臓を絞られて、すっぱい何かが広がるようだった。