【完】切ないよ、仇野君




マネージャーとしての仕事を終えて、一軍御一行や他の部員達と別れて、私はいつもは乗らない市電に乗る。


熊本市内の晴れ渡った空、道路、ゴタゴタしていない街並みを市電が駆け抜け、熊本城へと向かって走る。


遠いような近いような、大きな城の手前に広がる、熊本一番の都会なアーケード街。


そのアーケード街にすぐ向かえる降車駅で降り、待ち合わせのショッピングタワーの方に向かうと、練習試合以来に見る、透けるようなブロンドヘアーを持った歩君が、ヘッドフォンを着けて待っていた。


部活後なのか、半袖のパーカーにシルバーのジャージのパンツ、ハイカットのスニーカーとリュックサックの歩君はこの田舎には浮いていて。


その証拠に、すらりと長身で、日本人離れした白い肌とそのブロンドヘアー、それから美術品みたいな端整な顔立ちが、周りの人々を魅了し、視線を集めている。