「良かとこは自分で気付かんと変われん……やけどまぁ、んー、例えば、雫はちーんこつ『心配んなるごて一生懸命』ってゆうとったし」


泰ちゃんが、記憶を巡るように目線を右にきょろり、と動かす。


「ケイ先輩は『ちーは鈍臭かふりして行動素早かわ』って褒めとらした。行雲キャプテンは『あいつは大和撫子じゃの!日本女子の鏡やわぁ』ってぼやいとらしたよ」


私の知らないところで、私の知らない私の良い所を皆が見つけてくれている。


「由貴先輩は『あん子は飲み込み早か!ひたむきやけんね!』って自慢気に良く言いよらす。椿は『あいつは良く気付く。欲しいときにタオルとかドリンクとかサッとくれるし、隠してた怪我にもすぐ気付く』って。あとは……」


皆から見た私は、今まで私たらしめていたコンプレックスの塊をほぐすみたいに良く見てくれていて。


なのに、私は自分のことなのに、何も知らないんだって、初めて気付いた。


泰ちゃんから告げられる言葉の数々に、良く分からない感情が込み上げて、かぁ、と頬と目頭が熱くなる。