【完】切ないよ、仇野君




先生が出張中の保健室は、誰もいなくて薬品の香りだけがふわりと広がっている。


「ったく、どこまでネガティブなんだよあんた。とりあえず寝ろ。寝て少しは落ち着け」


「ごめんね椿、迷惑やったね」


やっぱり私のこと、椿は気にして連れ出してくれたんだ。


保健室の使用表に適当に書き込んでいく椿を横目に、私は真新しいシーツの張ったベッドに体を滑り込ませる。


暫くすると、記入を終えた椿が私の寝るベッドに腰を下ろしてふぅ、と息を吐いた。


「こういう時は『ごめん』じゃなくて『ありがとう』でしょ?まぁ、掃除サボれたしラッキーだけどね」


そう言ってニッと笑った椿は眩しくて、どこか心が安らぐ存在。