【完】切ないよ、仇野君

「……皆、ちょっと悪い。ちー体調悪いみたいだから、保健室連れてくな」


黒板の二人をぼんやり見ていた私だったけど、隣の、同じ高さから聞こえる声に顔を上げた。


「えっ?ちー、大丈夫と?」


雅美が慌てて駆け寄って来て、心配そうな顔で私を見上げる。


その仕草が、やはり小さくて可愛くて、雅美に邪気は無くて、私の心の汚さをあぶり出されるようで、怖い。


「顔色悪かね。歩けんなら、俺が支え……「いい。泰ちゃん、俺が行くから」


私の様子がおかしいと心配して、雅美とは逆に屈んで私の顔を見ていた泰ちゃんに、被せるように椿が言う。


いつもより声色がちょっとだけ低い。こういう声の時の椿は、考え事をしている深刻な時だ、と思う。


……椿は私のこと『良く気付く』なんて言ってくれたけど、椿の方がよっぽど良く気付けてるよ。


多分、今泰ちゃんに優しくされたら、自分の醜い気持ちに押し潰されて泣きそうな私に、椿は気付いてくれている。