【完】切ないよ、仇野君

「でも、私、バスケんこつ、何も知らんし……」


「大丈夫!小鳥遊椿やて去年何も知らんままバスケ部に入って、今ではチームに欠かせない司令塔になったけん」


由貴先輩の言葉に、思わず驚いて顔を上げてしまう。


小鳥遊は、仇野君と共に去年の夏の大会で活躍した選手の筈なのに。


「こんかこつ何も知らんちーちゃんに説明しても難しかやろうが、小鳥遊は高校に入るまで1on1……1対1の専門で、バスケのルールげな授業でやるこつしか知らんやったとよ」


『やけん、心配することなか』と由貴先輩が笑うものだから、思わず目が点になってしまう。


そんな私達のやり取りを横目に、神楽木先輩はすっと椅子から立ち上がる。


「俺は由貴みたく口で説明しっきらん。まぁ、とりあえず着いて来い!迷いとか吹っ飛ぶぐらいんモン、見せちゃるけん!」


そう言って笑った神楽木先輩の顔は、太陽よりも眩しい気がして、私はその陽の当たる場所が見てみたくなった。