一階の自販機でオレンジジュースを買って、目的地も無くフラフラ歩けば、他校の試合を観に来ていた高校生達が先程の試合について話してる。
「狡かばってん、やっぱり慧心は出来上がっとったな。あそこでぶつかりに行けるんも強かけんやろうな」
「おお。荒商のフォワード、あんくらいせんと止まらんくらい巧かしな。あれでもあいつ、多分今年の得点王なんやなか?」
歩君はホントに凄い。そう思うのは、私やこの人達だけじゃなく、歩君のプレイを見た全員だろう。
今大会、歩君はどんな選手よりも得点を重ねたから、彼等の言う通り得点王や、ベストフォワード賞も貰えるかもしれない。
けれど、いくら賞を取っても、荒商の夏は終わってしまった。
途中で戦いの場から退かなくてはいけない状況になった歩君は、きっと誰よりも悔しいだろう。悔やんでも悔やんでも、悔やみきれないくらいに。
気持ちを切り換えようと思っていたのにもっと重たくなってしまい、歩きながら首を左右に降っていると、向かった階段の方から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「そうか……負け、たか」
「すまん、歩。お前に頼り過ぎとった。俺等ん力不足たい。……お前ば、もっと広か世界に羽ばたかしてやりたかったとにな」
歩君と、多分あちらのキャプテンの、ガードの男の子とのその会話に、私は体を隠して立ち止まる。
しばらくすると会話が途切れ、ひとつの、くぐもった嗚咽が空間を支配する。
そっと壁越しに覗くと、肩にかけていたタオルを口に加え、嗚咽が響かないように歩君が泣いていた。
私の角度からだと、歩君の顎にあてがわれた痛々しい大きなガーゼも確認出来て、途端に息が詰まる。
「狡かばってん、やっぱり慧心は出来上がっとったな。あそこでぶつかりに行けるんも強かけんやろうな」
「おお。荒商のフォワード、あんくらいせんと止まらんくらい巧かしな。あれでもあいつ、多分今年の得点王なんやなか?」
歩君はホントに凄い。そう思うのは、私やこの人達だけじゃなく、歩君のプレイを見た全員だろう。
今大会、歩君はどんな選手よりも得点を重ねたから、彼等の言う通り得点王や、ベストフォワード賞も貰えるかもしれない。
けれど、いくら賞を取っても、荒商の夏は終わってしまった。
途中で戦いの場から退かなくてはいけない状況になった歩君は、きっと誰よりも悔しいだろう。悔やんでも悔やんでも、悔やみきれないくらいに。
気持ちを切り換えようと思っていたのにもっと重たくなってしまい、歩きながら首を左右に降っていると、向かった階段の方から、聞き慣れた声が聞こえてきた。
「そうか……負け、たか」
「すまん、歩。お前に頼り過ぎとった。俺等ん力不足たい。……お前ば、もっと広か世界に羽ばたかしてやりたかったとにな」
歩君と、多分あちらのキャプテンの、ガードの男の子とのその会話に、私は体を隠して立ち止まる。
しばらくすると会話が途切れ、ひとつの、くぐもった嗚咽が空間を支配する。
そっと壁越しに覗くと、肩にかけていたタオルを口に加え、嗚咽が響かないように歩君が泣いていた。
私の角度からだと、歩君の顎にあてがわれた痛々しい大きなガーゼも確認出来て、途端に息が詰まる。



