その後、歩君のいない荒商からは勢いも流れも無くなり、12点差はひっくり返され、慧心の逆転勝利。
「厳しいけど、これが高いところにいるチームのバスケ。非情に、卑劣になれることが時として勝利を掴むことだってあるんだ」
司令塔としてその試合を観て、次の試合を見据えていた椿の言葉は、どんな言葉よりも重たい。
これから水高が決勝戦だというのに、私の気持ちはさっきの試合のことばっかりで引っ張られてる。
それは私だけじゃなくて、他の皆だってそう。
「……オーラが、濁っとる。皆んも、自分のも」
雫ちゃんが静かに呟いて、膝についた手の杖を額に持って行って長い前髪をぐちゃぐちゃと握り潰す。
「決勝まであと20分……それまでに、全員気持ち切り換えてこんか!気持ちは分かるが、酷い顔じゃお前達!勝てるもんも勝てん」
見かねた箱田先生の言葉に、各々席を立つ水高メンバー達。
私も、気持ちを切り換えなきゃいけない。こんな気持ちで応援しても、きっと、皆には届かないだろうから。



