【完】切ないよ、仇野君

そして、遂に準決勝第一試合、水高対肥後学の両陣営がフロアにずらりと並ぶ。


仲の良いチーム同士の試合で、緊張感は勿論あるけど、それ以上に両校が試合を楽しみにしているような、観ているこちらまでわわくわくするような空気が流れている。


「水高!水高!水高!セイッ!」


「肥後学ぅー、ファイ!『ファイ!』ファイ『ファイ!』オォォ……!」


両陣営の応援の声が響き渡るフロアで、スターティングメンバーから全員一軍の私達サイドは、各々が試合に向かってそれぞれ動いている。


長いリストバンドを引き上げる椿、手首のミサンガに願いを込めるように瞳を閉じる行雲キャプテン、トントン、と左足のつま先でフロアを叩くケイ先輩、ハイソックスのゴムを伸ばしてパチンと弾いた雫ちゃん。


そして、大きな深呼吸をしてバッシュの足の裏を掌で撫でつける泰ちゃん。


あんなに緊張感の無かったか朝からの皆が嘘のように、この瞬間は引き締まる。


「っしゃあオラァ!ぶっ潰す!」


「「「「イエッサァ!」」」」


やっぱり何度聞いても物騒で、これからスポーツをするとは思えない円陣だけど、この円陣を聞くと、このチームが何よりも最強に見えて仕方が無くなるんだよ。