「ははっ!ちーが出るんやないのに緊張しとるとか、あまりにちーらしいわ」


「酷かぁ。歩君やて『ちーも』って言ったっちゅうこつは、お腹下しとるんやろ?」


歩君に対して少しだけ意地悪な返しをすると、歩君は照れ臭そうに頬をかく。


「今日は敵同士やけんあんま話せんけど、決勝で絶対会おうな」


「うん。でも、優勝するんはうちの皆ばい!」


太陽のように眩しい歩君の笑顔が、私の心の中身をさらけ出させるように、そんな強気な発言までさせてしまう。


当の本人の歩君は、どちらかと言うと弱気な方の私のその発言に驚いているみたい。


「……ちー、変わったな。もち、良か方にな」


「ありがとう。歩君のおかげでもあるとよ?」


えへへ、と笑ってみせると、歩君もまた眩しい笑顔をこちらに向ける。


「今んちーは、初めて会った時よか好いとーよ!……まあ、泰河や皆んこつば大事に想うとるとこ含めてやけん、深く考えんでな!」


まるで天使のように無邪気に、飛び立つように軽やかに走っていく歩君は、やっぱり私にとっては手の届かない、太陽みたいな存在で。


そんな彼も、今日は言う通り敵同士。その事実に、心臓から苦い切なさがじわりと滲んだ。