「暇……やけど」


「じゃあ、これからちょっと俺達について来ない?」


ニッコニコの小鳥遊が何だか胡散臭い気がして顔をしかめると、その胡散臭い顔から、今度は生意気で、不敵な笑みに変化する。


「まーまー、そう顔をしかめなさんなって。……つーかこれ、強制だけど」


「ごめんな。椿は俺等ん司令塔やけん、俺は従うしかなかとよ」


「な……ん!?ぎゃっ!」


二人の言っていることが理解出来ないで反応しないでいると、私の足は、急に地面から浮き上がり、代わりに腹部に固いものがめり込む。


『俵担ぎ』だ。そう、これは色気もへったくれもない、米俵を運ぶような、担ぎ方。


私は仇野君のがっしりした腕と肩にいとも簡単に持ち上げられてしまっていた。


「なんすっと!おろしてばい!」


抵抗しても、私よりも遥かに大きな仇野君に敵うはずもない。


校内に残る生徒達の注目の的になりながら、私は半強制的に拉致されてしまっていた。