【完】切ないよ、仇野君

「ちー、こっちの荷物も荷台で良か?」


「へっ……?あ、泰ちゃん!ありがと!」


ケイ先輩と話していると、いつの間にか泰ちゃんもこちらに来ていて、私の仕事を手伝ってくれる。


「おー、旦那がヤキモチか?心配せんでも取らんて!なぁ、ちー?」


そして、いつもの流れで私と泰ちゃんを弄るケイ先輩の一言が降りかかる。


いつもだったら恥ずかしくてここで黙って俯いてしまうけれど、泰ちゃんへの恋心はしばらく封印って決めたから。


「……嫌やわぁケイ先輩!違いますよ。泰ちゃん優しかけんでしょ、はは!」


否定することは、封印することは、思ったよりもきつくない。


うじうじしてて、弱いだけの自分だと思ってたけど、私は少し変わることが出来たのかもしれない。


「あれ?いつもとリアクション違うわ。なんか由貴みたいでつまらんわー」


「ケイ先輩ん思い通りには行きませんよ。私も敏腕マネジ目指しとりますから」


思っていた以上に普通に『マネージャー』でいれることに、嬉しくなって笑顔になる。


これで少しは、皆と戦う強さが手には入ったのかな。