しばらくお互い真っ赤な顔で見つめ合っていたけど、どちらとともなく笑い出してしまっていた。


「はは!……ちーらしくなか。椿ん入れ知恵?」


「バレた?流石、お互いマイブラザーとか言いよるくらいばい」


気まずくなってもそれがアホらしいくらいに、こんなに簡単に笑い合えるなんて、今までの私じゃ有り得ない。


二人で何がおかしいのか分からないけど笑っているこの時間が、些細な幸せ。


やっぱり少女漫画の主人公みたいな展開には持ち込めないけど、それでも、満足。


「なーんや、心配して損したばい。勝手んイチャこいちょるごた。椿先輩の方ばケアしちゃろうか?」


「だねぇ、お願いしまーす」


「あらあら、青春ばい、甘酸っぱかねぇ」


そんな私達の後ろには、いつの間にか椿と雫ちゃん、それから由貴先輩の姿がある。


「青春って甘酸っぱくて歯痒かモンなんすかねぇ、キモいっすわぁ」


「出たー、雫の毒舌」


こんな日常が、ありふれた些細な幸せが続けばいい。質素で贅沢じゃない願いかもしれないけど、私はそう思うんだ。