「元気かね。身長はこの間2メートル9センチになったばい。君は?」


「うっわー!だーごデカかね!うちは148センチしかなか。羨ましかぁ!」


雅美は新たなオモチャを発見したかのようにキラキラと目を輝かせ、ピョンピョン飛びながら仇野君と喋り始める。


その雅美の小柄な背中を見つめて思う。いいな、羨ましいのは私の方だって、心から叫びたくなる。


「何あの小動物、ウケるわ」


周りの視線に目もくれず仇野君に絡む雅美を見て、小鳥遊が楽しそうに笑う。


「可愛かよね、小さくて、童顔で、丸っこくて。ああいうんが女子って言うとやろうね」


自分で自分を否定するようなことを言って、また沈んで行きそうな気持ち。


そんな私に、小鳥遊は髪の毛と同じ、色素の薄い眉毛を寄せてボソッと呟いた。


「小さくて童顔も結構コンプレックスだぞ?あの子も、長身でスタイル良くて美人なお前に、同じ気持ちだと思うけど」


それは多分、バスケをするには小さい小鳥遊が、仇野君にそう思ってるから言えるのだろう。