【完】切ないよ、仇野君

「何ねコレ。ばりウマかぁ!」


「ホント?余ったベーキングパウダーで作ってみたんだけどさぁ……」


そして、一番見せたかったその人の声が、入口から聞こえてきて。


「お前等ぁ!夫婦みたいな会話しよらんではよ来んか!ってか、椿何やそんおやつ!俺にも寄越さんか!」


椿特製のお菓子を食べながらやって来た、泰ちゃんと椿のその姿。


行雲キャプテンがそっちの方へ走っていって絡みだし、泰ちゃんの手からお菓子を奪って口に放り込みながら、私の方を指差した。


それを確認した由貴先輩は、私の腕にしっかりと腕を絡め向日葵みたいなその明るい笑顔でそっちの方に手を振る。


バチっと、まるで磁石がくっつくかのように泰ちゃんと目が合う。


何だか、気恥ずかしいような爽やかなような甘酸っぱいような、そんな不思議な気持ちが込み上げて、私はそれを隠すように小さく手を振ってみる。


泰ちゃんの垂れ目の二重がみるみる大きくなっていって、それに比例して徐々に顔が赤く染まっていく。


隣の椿も、顔ではなくTシャツから覗く鎖骨から首にかけてのデコルテと耳を赤く染め、大きな目を更に大きくしている。


今までの皆の態度と違うけど、二人はどう思ってくれているんだろう。