「沢城さん家どこ」 「こっちです」 結局、桐生くんに家まで送ってもらった私。 帰り道は必要なこと以外は何も話さなくって…… ほとんど無言だった。 何か話そうとは思ったけれど、緊張して何も話せなかった。 静かで聞こえてしまいそうな心臓の音を隠すのに必死だった。 私にとってはそんな時間も幸せな時間。 いつも遠い存在の桐生くんと2人きりでいられるのだから。 「じゃあ」 私を家まで送り届けて、たった一言だけ言って帰っていく桐生くん。 「ありがとう、また明日ね、桐生くん」