おまけに小さく呟いた桐生くんの言葉は全く聞き取ることができなかった。 気になって聞き返したいところだったけれど…… 桐生くんはどこが遠い目をしていて、聞くに聞けなかった。 「ほら、解き直して」 そう言った桐生くんはもういつも通りの桐生くんだった。 「うん…」 再び問題を解き始める。 「これ違う」 「さっきとおなじミスしてる」 その問題ごとにアドバイスをくれて、少しずつだったけれど問題を解き進めることができた。